平家物語絵巻展―林原美術館
2015年 07月 19日
そうしたら、行先が偶然にも岡山市内へと向かい、それならあそこへぜひ行きたい、と願って、見ることができて本当にうれしかったです。
昼食を済ませてから伺ったのですが、ちょうどギャラリートークのある土曜日だったのも何かの縁、ラッキーでした。トークの始まるのが午後2時ということで、それまでに一通り丁寧に見ておくことができました。
前回と同じ学芸員、浅利さんのお話から・・・
ここの平家物語絵巻は全国でも全巻そろったただ一つの物だそうです。普通12巻の所を、全部上・中・下の3巻に分けていて全部で36巻分が分類されて引き出しに入る箪笥があり、その引き出しの前にはどういう内容の巻であるかを書き記してあり、取り出しやすくなっている、というのは前回の説明と同じ。
冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という有名な部分は、素晴らしい高級な料紙が使われており、筆跡もほかの二比べ物にならないくらいに美しいものです。靑蓮院の門跡?の手によるもので、学芸員の方の説明もやはり、これができた江戸時代においても特別な箇所なのでその部分だけは特別字の上手な人の手によって書かれた物だそうです。
あとは印象に残った説明は、この平家物語絵巻の写真は高校の古文だとか歴史の教科書などに掲載させてくれとか言う引き合いが多くて稼ぎ頭なんだそうです。一つのショーケースに、掲載されている教科書などが展示されており、私自身も、高校の古文あたりで、一ノ谷の合戦の義経の鵯越(ひよどりごえ)の話だとか、平重盛都落ちの話、屋島の合戦の扇の的の話などは習った記憶があります。
好きな場面は数々あり、それが絵になって見えるというのがとても魅力でした。また、本文の筆文字(くずし字)のそばに現代語訳がついていて、それを丁寧にたどって読んでいくことで平家物語のあらすじもわかるようになっているので、高校生でも大変よい勉強になると思います。
今回はまた、関西大学の協力により、画面をスキャンしてデジタル映像化されて、パナソニックの協力により50インチの大画面で引き伸ばしてみることができることです。例として、壇ノ浦の合戦の二位の尼と安徳天皇の入水の場面、これは実物ではほんの1㎝ほどの絵なのに、引き伸ばしてみることによって、尼の顔の輪郭の下絵の腺までうっすらと見えることを説明していただき、興味深いものがありました。
前期と後期に分かれていて、前期(7月18日~8月23日(日)では源平の争乱の様子を全巻36巻分広げて見せてもらえ、巻物のため同じ巻でも別の場面をと、後期(8月25日(火)~9月23日(水・祝)ではたとえば小督の悲話など魅力的な人物を中心に見せてもらえるそうです。ぜひ後期にも足を運びたいと思いました。
前回の平家物語絵巻展の記事はこちら⇒http://kurakeiko.exblog.jp/16818522/
帰宅後、テレビのニュースで、凸版印刷が「くずし字」を判読できる仕組みができたとの話、これがあれば平家物語の本文もまた楽に読めるのでは、と期待が持てる話でした。⇒http://www.toppan.co.jp/news/2015/07/newsrelease150703_2.html
by kurashiki-keiko | 2015-07-19 01:39 | うれしかったこと | Comments(2)
平家物語、いいですねぇ。一番大好きな日本文学です。
…さるほどに寂光院の鐘の声 今日も暮れぬと打ち知られ 夕陽西に
傾けば 御名残惜しうは思しけれども 御涙押へて還御ならせ給ひけり
大原女の先々行くや夏の蝶
大原女の装束は、建礼門院に仕えた女たちを真似たと言われます。
大原には毎年出掛けます。
ありがとうございます。
私も、平家物語大好きです。それでこれまでも、京都の祇王寺、地元の藤戸の古戦場の源氏と平家の本陣跡や、水嶋の合戦の古戦場の碑、屋島の合戦の弓流しの場だとか、徳島の義経が船で上陸した地、しまなみ海道の大山祇(おおやまずみ)神社に奉納された国宝義経の鎧だとか、壇ノ浦の赤間神宮裏手にある平家の墓地だとか、色々と見てきました。
ただ、以前せっかく訪ねた大原の地でしたが、その直前に火事があったために寂光院だけは行けていないのが残念に思っています。