映画「劔岳 点の記」を見ました
2009年 07月 13日
MOVIX倉敷へ行ってみるとこれまでにないくらいの行列。「お先にネット」は本当にありがたい。大行列をかいくぐり、機会の前でさっさとチケット引き換え。ポップコーンなんかの行列は避けて、さっさと入館。映画が始まってから20人くらいが「座席番号が見えない」とうろうろ。
上映スクリーンは、ほかのお子さま向け?のが多かったせいか、こじんまりした場所で、中高年夫婦が多かったみたいでした。
もともと新田次郎の小説は好きなほうだったのと、予告を見ていて気になっていたのと、実家の母が先に見たと言っていたのとで、是非にと思いながら6月が忙しくて遅れたのでした。
感想は、あの劔岳の圧倒的な山の自然の前に立ち向かう人間の姿のちっぽけなこと。不可能と思われた劔岳の上に登るだけでなく、その上に三角点を立て、測量するという目的を持って臨み、達成したことの偉大さ。また、案内人の菅笠、蓑、お鍋まで背負って、足元はわらじがけという明治40年の装備で、よくまああんな険しい山に登ったなという驚き。テントと言う言葉もなく「天幕」だったし、その天幕も木綿だったろうし、重い装備だったろうと思う。
オフィシャルサイトはこちら。http://www.tsurugidake.jp/
キャストについて、主役の浅野忠信さんは私はこれまで知らなかったのですが、誠実で穏やかな人柄がとても似つかわしくてよかったです。案内人の香川照之さん、この人は役者さんとしては知っていましたが、こういう役に似合っているとは思わなかったけれど、実直で自分の仕事をわきまえ、登頂間際になって、「自分の役目は山に上りたい人の手助けをすることだから」と最初に登頂するのを遠慮して後ろに下がろうとするその謙虚さ、いいなあ、と思いました。
脇役も陸軍の軍服組では小沢征悦さん、西郷隆盛役も大河でやっていましたが、いい感じ。国村準さんもいかつい感じではまっていましたが、「釣りばか日誌」の運転手役の笹野孝史さんの上官は軽そうで大物っぽくなかったのが残念。
最後の字幕で、立山方面の山小屋とかホテルの名前がずらーっと出ていて、2年間に及んだと言う撮影の苦労がしのばれました。
また、新田次郎の息子さん、あの「国家の品格」の著者で数学者でもある藤原正彦さん、その兄?の正広さん兄弟の名前も原作者のすぐ前にありました。お父様の原作を、黒沢明監督の下でカメラマンだったと言うこの木村大作監督のもとで映画化されることはとてもうれしいとのコメントもサイトで拝見。
私は満州からこのお2人の息子さんと咲子さんと言う赤ん坊だった娘さんを連れて引き上げてきた「流れる星は生きている」という奥さんの藤原ていさんの著書を読んでいたので、あのときの息子さんがこんなに立派になられて、と言う感動も含め、山が好きで山の小説を多く書かれた新田次郎さんの作品がこんなにすばらしい映像になったことを心からうれしく思いました。
by kurashiki-keiko | 2009-07-13 05:56 | 日常 | Comments(6)
土曜日でした。
でも、写真のような行列でなく、空席が目立つほどでした(16:20~でした)。
そうそうたる俳優陣によるガチンコの演技は素晴らしかった!
そしてあの険しい山に教えてもらった数々のこと…。
結局「前人未踏の初登頂」でなく、陸軍省からは成果として認め
られなかったけれど、劇中にあった「何をしたかでなく、何のために
やったか」を知りえた人でなければ、あんな苦労をしてまで
重い任務を果たそうそはしなかったはず…。
競い合っていた山岳隊の面々と手旗で互いをねぎらい合った
シーンでは、もう涙涙の洪水でした(笑)。
「何のために」、山岳会の人が心から尊敬したあの粛々と仕事をこなしていく彼らの努力、私もやたらに鼻水が出てきて困りました。
よかったですねえ。