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秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ


 秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_180265.jpg2009年9月27日(日)、朝8時に老神温泉の宿を出て、片品村へ向かいました。片品村の戸倉というところに、尾瀬へ行く人のための大駐車場があり、乗り合いバスやタクシーに乗り換えて鳩待峠まで行くのです。広々とした駐車場に9割がたの車が入っているのにびっくりしながら、マイクロバスに乗車。1人片道900円。駐車料金は1,000円。さすがに皆さん帽子にリュック、杖、靴と登山スタイルで装備もしっかりした人ばかりでした。バスはダイヤなどはなく日曜日とあって、満席になり次第どんどん出発していきます。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_0585617.jpg20数分ほど、曲がりくねった山道を登っていきます。紅葉が始まっていて、ウルシの真っ赤な葉がとてもきれい。

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鳩待峠で私たちを待っていたのは、片品山岳ガイド協会の千明(ちぎら)太郎さんでした。旅行の予習に雑誌「るるぶ」を見て、「鳩待峠から尾瀬湿原の竜宮という地点までの往復コースに限り3人までなら6,000円でガイドする」(8月以後のオフシーズンに限り、らしい)というのを見つけて申し込んでいました。薄いメッシュのシャツとその下に保温用の下着の2枚しか着てない、という、すらりとした長身。半日の行程にしてはえらく大きなリュックを背負っていました。登山道具一式かな?
  まずは尾瀬の入り口の山ノ鼻までこの標高1592mの鳩待峠から1時間ほど下っていくのです。
靴の裏をマットでぬぐって、外来種の植物の種を持ち込まないようにとのこと。すでにその付近にはなんとコンフリーが生えていました。最初はごろごろした石の階段で、足をとられないように下ばかり見ていましたが、そのときすれ違った若い女の人はとがった高いかかとのミュールというサンダルを素足で履いているのを目ざとく見つけた千明さん、眉をひそめていました。「捻挫したら1人では帰ってこられないですから、はた迷惑です。」そのうち木の階段となり、それからずっと木道になりました。

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尾瀬への下り坂は所々紅葉した素晴らしい自然林で、林の下草の普通の熊笹、と思ったものは千島笹、北方系のものでした。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_153493.jpg紅葉一つとっても、鳩待峠までのバスでみかけた紅葉は主としてウルシでしたが、赤くて丸い亀の甲羅のようなオオカメノキは朱色、

クロモジの木や山菜にもなるコシアブラは白っぽくなったり、楓でも場所によって黄色くなったり赤くなったり、緑の葉が突然のように赤くなる部分があったりすることを教わりました。ちょうど木の実が色々あって、

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_194995.jpgとげとげのある実がはじけてぶら下がる真っ赤な実をつけるツリバナ、

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_112151.jpg黒くてつやつやしたクロモジの実、などが見られました。

 また、木では黒部峡谷の名の元となったクロベ、別名ネズコという木は、まっすぐで丈夫で腐りにくいため、このあたりの山小屋の土台や柱・梁・屋根葺きなど、昔はすべてこの木で作られていたそうです。(現在では保護区のため伐採禁止) 

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_113834.jpg木肌にはマイナス25度以下に下がると出来るという、凍裂で裂けた跡。1966年と年号まである落書きの傷跡も。最近ではマナーが向上してこんなこともなくなったそうですが、名前まで「中村」と彫っていて、もう一度ここに来たら40数年前の落書きをどう思うでしょうか。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1144119.jpgあちこちに咲いている、楓のような葉っぱできれいな青紫色の花は、猛毒のトリカブトだそうで、葉っぱがニリンソウとそっくり、しかもニリンソウの側に生えることが多く、ニリンソウは山菜として利用されるのでとても危険なのだそうです。もしも山菜としてニリンソウをもらっても食べないこと。

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(これはゼンマイです)

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1162987.jpg熊が出てこないように鳴らす鐘です。

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(熊がとうもろこし状のミズバショウの実を食べて踏み荒らした跡。)

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上のほうの枯れ枝の固まりは、熊が実を食べに上って落としたものだそうで、「あんなに高いところまで木登りできる」ことにびっくりしました。

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 そんな説明を聞きながら鳩待峠から山の鼻の山小屋へ到着。ここでトイレ休憩。トイレはこの先竜宮の山小屋までありませんので、とても重要。そのあたりですらりとした若い女性とすれ違い、千明さんが挨拶をするので、聞けば環境省のお役人だそうで、とても性格がよくて地元の人の受けもよく、彼女が来て尾瀬が変わったのだそうでした。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1245048.jpg山ノ鼻からがいよいよ尾瀬の湿原の始まりでした。 入り口にセンサーが取り付けられており、何人が入って、何人が出たかを正確にカウントできる仕組み。

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尾瀬はとても広くて、上のほうの尾瀬沼と、この尾瀬湿原とがあり、湿原は幅2km、奥行き6kmだそうです。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1282920.jpg元気な若者なら1日で一周できるかもしれないとのことでしたが…山の鼻までの往復で3時間かかるので、私たちは体力を考慮していただいて入り口から3分の1くらいの牛首という分岐の当たりまでで

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1285725.jpgお弁当を食べて引き返すことになりました。
(宿で作ってもらったお弁当)

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1314574.jpg秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1263815.jpg
牛首を過ぎるあたりでは木道がかなり傷んでいて、泥炭に杭が沈み、板が段差になってつまずきそう。所々新しい杭で修理されていたのは、先ほどすれ違った若い女性の環境省のお役人が上に訴えたおかげではないかということでした。木材には設置された年号が記されていました。
この木道は、分厚い幅25cm、長さ4mの唐松、それもこの近辺の木材で出来ていて、なぜかというと、外国の材木だと中に虫の卵が産み付けられていて繁殖する恐れがあるためだそうです。

秋の気まぐれ旅その2 尾瀬へ_d0031853_1325088.jpgそしてそれは全部ヘリコプターで持ち込まれ、朽ちて取り替えるときも、ゴミを一つも残さないように再びヘリで吊り上げて持ち去られるのだそうです。この大切な自然を後世に伝えるための努力をしているのです。
(続く)。




上記の記事はメールマガジン「Weekly KURASHIKI 週刊倉敷タウン情報」に連載中の「Keikoのお出かけ日記(322)」として掲載されています。こちら→ http://archive.mag2.com/0000002334/index.html

片品村

by kurashiki-keiko | 2009-10-02 01:33 | | Comments(0)

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