Kさんのお葬式にて
2010年 12月 10日
ご自宅は倉敷でも古い町並の中にあり、お隣のご本家は国の文化財のはしまやさんです。なんでも10月の屏風祭りにはお家のお座敷に飾られた屏風の前に椅子を出して座って挨拶をされていたのだとか。
奥さんのほうは、この11月初めの家事家計講習会の小さな集まりで司会をなさったとのこと。なのに、8日とは、長患いもされず、肺がんだったのだそうでした。
ダンディーなお方で、ダンガリーのシャツやジーンズ、靴までオーダーだそうで、目に見えないような細かいところにこだわりのセンスがあったそうです。私は時折地元の郵便局や銀行でお見かけしたり、また奥さんのほうに用事で訪問するとたまたまお留守でご主人がパンだねをこねていらっしゃるところに行き合わせたこともありました。
そのご主人様は長い間岡山混声合唱団のメンバーでいらっしゃることは聞いていましたが、会葬者の中にはその団員の方々と、地元倉敷でのシルバーコーラスのメンバーがいらっしゃっていて、故人が好きだったモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を歌い、また会葬者全員で一緒に「故郷」を歌いました。歴史のある合唱団ですから団員の方々みなさんお年を召された人ばかりのようでしたが、男性も多く、故人は合唱団でも最年長の人だったのではないかと思います。
素晴らしいハーモニー。読経の前後でアヴェ・ヴェルム・コルプスの歌声にはお釈迦様はちょっとびっくりだったかもしれないけれど、故人はあの世への旅立ちに際してさぞかし喜ばれたことでしょう。出棺前の外のほうへも小さく流されてきた音楽は、モーツァルトの曲のようでした。
故人の交友範囲の広さを物語るように、86歳の老人にしては大層おおぜいの会葬者でした。私の合唱団も、ずうっとずっと続くとこんな風にメンバーを送ることになるのかなあ、続いてほしいなあと思いました。
…そして、そのこととは別に、義母の骨折、その後の介護生活によりずっとご無沙汰続きだった倉敷友の会の会員達に会うことができ、口々に「久しぶり、大変なんだって?」などと温かい声をかけていただけたのとが何より、特別に私にとってはありがたくてうれしいことでした。
家の中でひっそりと義母の相手をしていて、時間の流れが止まったかのような日々だっただけに、故人のKさんではないですが私にはこんな素敵なお仲間がいたんだ!と感動しました。
義母とのひっそりした生活も休日と思って、大変な中にも休ませてもらってありがたい面もあったのです。
しかし、今日、久しぶりに長年活動を共にしてきた友たちと会えて、「やっぱり友の会で仲間でいてよかった」と思いました。
by kurashiki-keiko | 2010-12-10 15:25 | しみじみしたこと | Comments(0)