義母を介護付き有料老人ホームへ その3
2011年 04月 27日
施設へ着くと、運送業者さんがベッドを運び込み再びヘッドボードをつけたりロッカーを包んでいたクッション材を外すところでした。
義兄は家に帰る兄嫁を駅まで送り、私は職員の作ったケアプランの書類を見ながら義母の様子を説明し、どんな世話が必要かを話しました。職員の方によると、義母の歩くスピードが速いのにびっくりしたのだそうでした。なるほど、同じグループ15人の老人たちのなかではさっさと歩ける方。手続きが終わりホールでくつろぐ老人達の中に母が入ると、そのうちの1人が素っ頓狂な感じで「あらー、〇〇さんじゃないの、ほら、私、女学校の2級下のKですよ。お宅まで行かせてもらったこともあるわ」と話しかけてくる人がいてびっくり。その人の家を聞けば、母が以前買いに行っていたパン屋さんのお向かいでしたので、私もよく知っているお宅でした。奇遇でした。
「まあ、〇〇さんがご一緒できるなんてうれしいわあ。〇〇さんは優等生じゃったですね。お父さんは〇〇にお勤めで」などと昔のことをよく知っていました。母は認知症なのでその人をさっぱり覚えていず、きょとんとした感じではありましたが、1人でもお仲間がさっそくできてよかった。
そのうち駅まで行っていた義兄も戻り、運び込んでいたお布団をベッドにセットしてあとは義兄に任せて第一夜が来ました。
そして26日(火)。どうなったかなと思いつつ、私はここ2か月間ご無沙汰だった美容院へ午前中行き、昼前義兄を迎えがてら行ってみました。義兄によると、前の晩は母は入所者に何か言われても「私はすぐ帰りますから」などと言っていたのに、その朝はしっかり朝ごはんも食べ、昼ごはんも食べ、帰ると言わなくなった由。それに前夜同窓生だと言って喜んでいたKさんが、2、3か所の施設を回ってここにきて、ここが一番いいと言っていたとのこと。よかった。そこで義母に、「ここは他と比べてもいいところらしいですよ。人気が高いから順番待ちの人が多くて、お母さんは入れて幸運だったんですよ」というと「そうかな。ここは端っこで角部屋で窓も2方向にあるからよかったわ」と前向きな言葉。
持参した父の写真などの入った写真立ても折り畳み机の上に飾られて、自分の部屋という雰囲気が出てよくなりました。また、この朝持参したカレンダーは、押しピンを使うと入所者が踏むなどすると危険なので、と粘着シール数個で貼られました。
認知症のよいところは、険悪だった前の日のことはすっかり忘れてくれたことでした。そして前からその部屋に住んでいたかのように、気分が落ち着いた様子を見て、義兄と一緒にお昼を食べに行くから、と退出してきました。
施設に入ってもらって、あこがれではあった夫との2人の生活が始まりました。これまで朝起きると母のデイサービスの迎えに間に合うようにと母を起こしに行き、侵入者を防ぐためと言って母が前夜に作っていた門扉のところのバリケード?を除き門をしばっていた紐とかタオルをほどき、薬をセットするなどの一連の作業から解放されました。
食事も母の分のおかゆに近いご飯を炊いたり、青菜を軟らかく茹でて細かく刻んだ胡麻和えを作ったり、翌日のお昼にと持ち帰ってカビがはえそうな残りものをかたづけたりする心配をしなくてよくなりました。夕方5分おきくらいにその日のご飯が心配で聞きに来る母に私が作るから心配いりませんよ、と話して安心させる必要がなくなりました。
出かけていてもデイサービスの送りに間に合うようにと帰らなくてもよくなりましたし、休日ドライブしていても夕食の支度に間に合うようにと出先から午後3時には必ず引き上げてこなくてもよくなりました。夫との旅行をするために兄弟たちに留守番に来てもらわなくてもよくなりました。
あとは義母のエリアの膨大な古い物たちをたぶん1か月から2か月くらいで片付けるだけでよくなりました。それから母の汚した衣類を洗濯するのもお願いできたのでしなくてよくなりました。季節の衣替えだけで済みます。
・・・これらの老いた親と暮らしてきたたくさんの事を引き受けてきた私の暮らしは、あとは夫の健康管理が私の重要な課題です。今年急死した夫の大学時代の同級生は、夫とほぼ同じような病歴の持ち主で、墓参りに行った同級生たちのメールの中には、次は私の夫の番か、と冗談にも言ってほしくないことが書かれていました。意地でも次にならないように気を付けてあげなければと思います。
義父の介護にかかったころ、私は38歳でした。今私も老境に差し掛かりました。幸い私は今のところ健康ですので、いいこともたくさんあることでしょう。
by kurashiki-keiko | 2011-04-27 03:22 | 老いということ | Comments(4)
長い長い時間を熱心な介護に充ててこられて、大変なことがたくさんあったと思います。
でも、お義父様やお義母様はおっしゃるとおりお幸せだったでしょう。
高齢の義母と暮らすということ、keikoさんの記事を読みながら今それを一手に引き受けてくれている義姉に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
ご主人様の健康と、どうぞご自分の健康にも気を付けてたくさんの楽しい時間を過ごしてくださいね。
無念ながらも69歳で亡くなられる方
義母様のように90歳と長生きされる方
21年の人生の差は大きいですね。
それだけを考えても恵まれ幸せでしょう。
介護や又自分に与えられた人生を身近に考える年齢になると
人間には個々の生き方を大切に選ぶ事も大切な道ではないのでしょうか?