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平清盛 平家物語絵巻の世界展―林原美術館


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岡山市の林原美術館に、平清盛 平家物語絵巻の世界展を見に行ってきました。
 林原美術館は、もともと岡山藩主池田家のお宝をそのまま買い取ったものが所蔵されているようで、平家物語絵巻も、全国でここだけ、36巻そろっているのだそうで、その全長はなんと940m、705場面もあるのだそうです。それを、今回は前半9月2日までと、後半9月4日から30日までに分けて36巻すべてを展示するのだそうです。しかも、土曜日午後2時からはギャラリートークがあるとのこと。そこで、土曜日午後1時過ぎから入館、一通り見た所で説明を聞くことにしました。
 元は岡山城の一部だったような立派な門構えの中に、美術館はあります。
 入ると、平家物語のあの冒頭、「祇園精舎」のところが立派な料紙にそれはそれは美しい文字で書かれているものが最初に展示されていました。参照できるように、行を合わせてワープロ打ちされたものが添えられていてわかりやすくなっていました。お習字のお手本にぜひ欲しい、と思わせられるようなそれは美しい文字でした。けれども、この文字の書き手というのは、36巻を4人ほどで分担していたとのことで、続く場面の文字はこの冒頭の部分ほどに美しい文字のところは見当たらず、やはり江戸時代に作られた時にも、この祇園精舎の部分は特別に考えられていたようです。
 
 また、今NHKで巡回展をやっている平清盛のドラマの展覧会にも、ここから貸し出しているそうですが、そちらでは絵の方しか見せてないのが残念とのこと、絵は文字の部分の説明なのだから、難しくても文字の方もぜひ読んで行ってほしいと、学芸員の方が言われていました。流麗な変体仮名そのものはなかなか読みづらくても、書き下したワープロ打ちの方ならなんとか読んで理解できると思います。私も久しぶりに古文の世界に浸らせてもらいました。

 この絵の方は江戸時代の物だそうですが、平安時代風の絵の約束事は守られてはいるものの、お屋敷の床に全面畳が敷いてあるなど、平家の時代にはなかったことも描かれているとのご指摘。それにしても、この絵のおかげで、平家物語の世界がとても分かりやすくなっているのは事実。絵のない文字だけの平家物語全12冊も展示されていましたが、薄い和綴じの本12冊に納まる事を思えば、太い巻物36巻、それが絵の分量となっているのでしょう。
 また、巻物専用のタンスも展示されていて、それぞれの引き出しには、金蒔絵の文字で、どの引出しにどの段の巻物が入っており、それにはどういう内容が含まれているか、との説明書きがありました。それは、気に入りの段を取り出して読みやすくしているのだとの説明。なるほど。
 また、「忠度都落ち」の箇所で、平忠度が和歌の師匠藤原俊成を訪ね、もしや勅撰和歌集でも編まれるときには自分の歌の一首なりとも選んでほしいと頼む場面、高校の古文の教科書に取り上げられていて、某高校の夏休みの宿題にここの展覧会を見に来るようになったのはありがたい、とのことでした。
 私が高校時代の古文には、一の谷の合戦の時の鵯越の箇所が出ていたような気がします。「御曹司、『馬ども少々落としてみん』とて・・・」と、急な山坂から馬を落としてみると無事に降り立ったものがあったので、義経はじめ武者たちは平家の背後から攻め込むことが出来た、というものだったと思います。

 どちらにしても平家物語大好きな私には、どの箇所もわくわくするものでした。
 また、岡山ゆかりの箇所も取り上げられていて、鹿ケ谷の陰謀で流され、吉備の中山あたりにいた藤原の成親の最期の残酷な場面だとか、藤戸の合戦の一番乗りを企てた佐々木守綱が漁師に浅瀬を教わる場面だとかが文章と共に展示されていました。

 また、大きな屏風で、橋合戦の場面、一の谷、屋島の戦いの場面が描かれたものの展示もあり、義経がどこにいるか、扇の的と那須の与一がどこにいるかなど教えていただきました。

 ギャラリートークはとても興味深く、20人ばかりの人と共に約45分間、しっかりと聞いてきました。

by kurashiki-keiko | 2012-08-19 00:09 | 感動したこと | Comments(0)

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