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貧者の一灯

 民生委員なので、地域の愛育委員さんたちにそれぞれの小さいブロックの町内を回って赤い羽根募金をお願いする季節になりました。
 先日、早い人は集まったから、と持ってきてくださったのでしたが、こんなことがあったそうです。
 というのは、大きなお家を最近購入して、さらに入居の前に全面改築して庭もきれいに整備されたお宅を訪ね、当然「目安」の額の500円くらいはご寄附くださるだろうとお願いしたところ、「うちは前の家に住民票があり、ここは別宅だし、前の住所ですでに寄付したから出す気はない」と断られて唖然としたそうです。
 そうかと思えば、生活保護に近いような見るからに厳しい生活をされている人が、それでも、と、手のひら一杯の小銭を持ってこられたのには、「もういいです」と言ったのですが、出されたので受け取ったのだそうです。
 それを聞いて、2人でその小銭の持つ重みはどれほどのものだったか、と言って胸が熱くなる思いがしました。


この話を聞いて思い出したのは、昔、「暮しの手帖」に藤城清治さんの切り絵のさし絵で「クリスマスの鐘」というタイトルだったか、のお話でした。
 昔、貧しい羊飼いの少年がいて、ひと夏一生懸命働いてお給金にと、銀貨1枚をもらった。少年はそれを持ってクリスマスに町の教会へ行った。教会には立派な鐘があったけれども、それは神様の意に沿う事をした人が鳴らすことができるというものだった。大金持ちが多額の寄付をしたけれど、その鐘を鳴らすことは出来なかった。教会の礼拝堂には大勢の人がお供えしたお金や財宝が積まれていたけれども、鐘はちっとも鳴らなかった。羊飼いの少年はそんなことは知らず、ただ自分が持っているたった1枚の銀貨をその祭壇にそっと置いた。すると、教会の鐘は高らかに厳かに鳴り響き、金持ちの人たちはそれを見てその少年の持ってきた銀貨1枚の価値を知ったのだった。

 ・・・というような筋だったように思います。切り絵の影絵の透明感のある美しさと、そのお話の印象深さとで覚えているのです。


by kurashiki-keiko | 2015-10-05 12:45 | しみじみしたこと | Comments(6)

Commented by mmkk1114 at 2015-10-05 23:05 x
こんばんは!
貧者の一灯 正にその通りですね。民生委員 ご苦労さまです。
私も小学生の時から駅頭に立ったものです。
赤い羽根駅の西口東口
ありがとうございます。
Commented by tomochi112 at 2015-10-06 00:01
共同募金も民生委員や愛育委員のお仕事なんですか?
此方では回覧板に赤い羽根をはさんでまわします。
以前、一軒ごと集めていたこともあるのですが
嫌な思いをすることもあって年度初めに一定金額納めるようにしました。
募金の度に一軒一軒回る手間はなくて助かります。
Commented by kurashiki-keiko at 2015-10-06 16:56
mmkk1114様、募金にかわいい子どもが立っているとその子の所へ入れてあげたくなりますね。
Commented by kurashiki-keiko at 2015-10-06 16:59
tomochi112様、こちらの町内では、民生委員が愛育委員にお願いして回ってもらいます。ただし、この後すぐに歳末助け合いの募金もあるので、それとまとめて、という町内が多いようです。募金に回る方も来られる方もたびたびだとわずらわしいという風潮があります。しかし独居老人の所在確認の意味では、たびたびの方がいいと言う意見もありますのでそちらもなるほどなと思います。
Commented by surgeon24hrs at 2015-10-07 02:15 x
こんにちは。

いつも、地域のためにご苦労様です。
最まあ募金というのはあくまでも気持ちですが、低賃金が700円代の時代ですねで、それ以上は出すべきだと思うのですが、反感をくらいそうなのでこういうことは普段は言わないようにしています。   : )
Commented by kurashiki-keiko at 2015-10-09 01:51
surgeon24hrs様、なるほど、最低賃金以上、「基準額」は社協の方から言ってくるのですが、そういう考えもありますか。出せる人は多いですが、地区民にはいろんな人がいますから、ほんと一律というのは難しいですね。
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